
ゼリーが固まらずお悩みの方へ
皆さま、こんにちは。介護食シェフの在川(ざいかわ)です。
スベラカーゼを使用してゼリーを作った際に「いつも通りに調理したのに固まらない!!」という経験をしたことはありませんか?
特に鮭粥や海苔粥、雑炊などのいわゆる “味付きのお粥” をゼリーにする際に、起こることではないでしょうか?
実際に弊社にも「固まらない!」というお問い合わせをいただくことがあります。
そこで今回は、ゼリーが固まらない事象について、 “鮭粥” を例にお伝えしていきます。
ポイントをおさえれば、皆さまのお悩みが解決するかもしれません!
是非、ご参考にしてみてください。
鮭粥はスベラカーゼでゼリーにできないの?
まずは、基本的なお粥ゼリーの作り方のおさらいです。
① 70℃以上のお粥をミキサーに入れます
② お粥重量に対して 1~2%のスベラカーゼを入れます
③ 1分間以上撹拌します
④ 盛り付けて完成です!(70℃前後で固まり始めます)

では、この手順通りに鮭粥をゼリーにしてみます。
出来上がりは以下の通りです。
固まっていないよ⁉と思われましたよね?
そうなんです。鮭粥は基本的なお粥ゼリーと同じように調理すると固まりません。
さらに詳しくお伝えすると、鮭粥のような塩分を含む食品はお粥ゼリーと同じ手順では固まりにくいのです。
ですが固まらないわけではありませんので、続けて注意するポイントをご紹介します。
「塩分を含む食品」をゼリー状に固める時のポイントは加熱温度
鮭粥のような塩分を含む食品の場合、スベラカーゼのゲル化剤が溶けるために必要な温度(溶解温度)が高くなりますので、80℃以上に加熱する必要があります。
目安としては、ひと煮立ちさせる程度の加熱です。
塩分を含まないお粥では70℃以上でしたので、10℃も差があります。
ということで、
先ほどうまくいかなかった鮭粥を80℃以上に再加熱してみます。
出来上がりは以下の通りです。
動画の通り一度固まらなかったものでも、『再加熱』で必要温度以上にすればゼリーにすることができました!
固まらないからと言って、スベラカーゼを追加する必要はありません。
ゼリーを固める上では温度以外にも計量・分散も重要です。
詳しくは以下のお役立ち情報をご覧ください。
ゼリーが固まり始める温度にも注意
1番の注意点として、『加熱温度80℃以上』ということをお伝えいたしました。
しかし、もう1点注意すべきことがあります。
それはゼリーが固まる温度(凝固温度)です!
スベラカーゼで作るゼリーの凝固温度は70℃前後です。
つまり通常のお粥ゼリーではミキサーでの撹拌後、盛り付けをしている間にプルプルと固まってきます。
しかし、鮭粥のような塩分を含む食品は、80℃以上に加熱していますので、いつもより固まり始めるまでに時間がかかります。
焦らず、70℃以下になるまでお待ちください。
まとめ
ここまでお伝えした内容をまとめると、以下の通りです。
- 鮭粥や雑炊のような味付き粥もゼリーにすることは可能
- スベラカーゼの添加量を増やす必要はない
- 塩分を含む食品は80℃以上に加熱する必要がある
- スベラカーゼで作ったゼリーが固まり始めるのは70℃前後
おまけ:ゼリーになるのか確認するコツ
加熱したばかりの食品が固まるか心配な場合は少量をスプーンですくい、冷水に落としてみてください。
この際に十分な加熱がなされていればゼリー状になります。
加熱が不十分な場合は、冷水の中で散り散りになってしまいます。

今回の情報が、皆さまの「ゼリーが固まらない!」というお悩みの役に立てれば幸いです。
実は、「塩分」以外にも酢飯や梅粥のような「酸」を含む食品にも注意が必要です。
酸を含む食品をゼリーにする場合の注意点は別の記事にてお伝えしております。
作成:2018年9月21日 在川
更新:2025年5月30日
関連情報
※以下より無料でダウンロードできます
嚥下調整食づくりにおけるゲル化剤のいろは
~ゲル化剤の正しい使い方~
監修:管理栄養士 江頭文江先生(地域栄養ケアPEACH厚木 代表)
